トレハロースの安全性や危険性は?

マルとバツの札

最近では食に対する安全性を重視する声が高まり、そのなかでも食品添加物や人工甘味料の危険性が話題になっています。

スーパーマーケットやコンビニエンスストアのお弁当やおにぎり、菓子パンなどに含まれている「トレハロース」も例外ではなく、「それだけの量を摂取したら危険ではないのか?」「トレハロースは人工甘味料だ」などと言われることが多いです。

そこで今回は、トレハロースの安全性や危険性について考えていきます。

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トレハロースの安全性について

スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで売られている食品パッケージの裏面をちょっと気をつけて見てみましょう。あるいはご家庭にある食品でも構いません。食品表示に「トレハロース」という単語が割と簡単に見つかります。

これだけ多くの食品に含まれているとその安全性について考えたくなるもの。ここでまずは、トレハロースの安全性についてお話しします。

トレハロースは安全性の高い糖

トレハロースは食品の品質維持を目的に使われている食品添加物です。

成分そのものは、しいたけ、しめじ、きくらげ、なめこなどのきのこ類、海藻、酵母などに含まれている糖であり、はるか昔から自然界に存在しています。日本企業・林原が量産に成功し、今や私たちの食生活には欠かせないものとなりました。

 国内外で安全性を認められている

トレハロースは日本では食品添加物(既存添加物)です。

食品添加物の中には一日の摂取量を制限されているものもありますが、トレハロースはそのような使用基準は設けられていません。

また、国際的にもFAO/WHO合同食品添加物専門会議(JECFA)による安全性評価において、一日摂取許容量の設定はありません。つまり、そのような制限を設定する必要がないほど安全なのです。

こうして考えると、トレハロースの安全性は非常に高いと言えます。

トレハロースの危険性はあるの?ないの?

天然由来の成分でありながら、同時に危険性を疑われることの多いトレハロース。その背景にはいわゆる人工甘味料や食品添加物への批判があります。

人工甘味料と間違えられやすいトレハロース

人工甘味料が持つイメージは、あまり良いものではありません。

過去に使用禁止となったものがあるためでしょう。(ちなみに、チクロは発がん性などがあると指摘されましたが、多数追試験では再現されず、英国をはじめとした欧州では問題視されず、実際に禁止となったのは米国と日本だけでした。)

このような考えからカタカナ名を持つトレハロースも危険な人工甘味料と間違えられがちですが、トレハロースは、天然由来の糖です。先にも述べた通り、トレハロースは安全性が十分に確認されているが故に食品添加物として認められているため、危険性は極めて低いと言えます。

トレハロースに危険性が考えられるケース

これだけ安全性が認められているトレハロースも、決して危険性がないわけではありません。天然素材ながらも糖質であることには変わりないため、糖尿病患者は注意が必要です。

糖尿病を患っている場合、血糖値の上昇を避けなければいけません。トレハロースは、血糖の上昇がおだやかな糖質とされていますが、全く血糖値が上がらないわけではないのです。

また、トレハロースを消化する能力は個人差があるので、一度にたくさん摂りすぎると一時的におなかがゆるくなる体質の人もいます。これは、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人がいるのと同じ現象です。

トレハロースの体に良い悪いの表現ではない理由

さて、ここまでトレハロースの安全性と危険性についてお話ししました。

両方について考えてみると、トレハロースの安全性や危険性は、一般的なイメージとして持たれている食品添加物や人工甘味料とは全く違う目線で考えられるべきだということがわかります。

「トレハロースそのものには危険性がないものの、特定の病気などにかかっている場合には気を付けるべき」と結論付けるのが望ましいでしょう。

安全か危険か、体に良いか悪いかを決める前に、「トレハロースがどのような成分か?どのような目的で使われているか?」をまず知る必要があります。

トレハロースの研究論文では

これだけの安全性が認められているなか、トレハロース成分そのものを危険視する考えもあらわれました。

危険性を指摘する研究が発表された

2018年1月、英誌Natureに「食品添加物・トレハロースが難治性の腸炎の原因であるクロストリジウム・ディフィシルを増殖させた可能性がある」という論文が発表されました。

著者はトレハロースが一般社会に普及した時期とクロストリジウム・ディフィシルが流行した時期が重複していると主張したのです。そのため、「トレハロースは安全」という常識に疑問符がつくことになったのです。

「事実と異なる」と結論づけられる

この論文に対し、NPO法人「食の安全と安心を科学する会」がファクトチェックをし、「事実と異なる」という結論を発表しました。

トレハロースが市場に出回り始めた時期とクロストリジウム・ディフィシルの流行時期が重なっている国もあるものの、「流通の認可がされていない時期の流行」「トレハロースを世界でも最も頻繁に摂取している日本が、発病最多国のリストに含まれていない」などから、トレハロースの危険性を断定するには無理があると判断されたためです。

同団体は独自の判断レベルにて「事実と異なる:レベル3」だという文言を掲載しました。ここでのレベル3は「科学的根拠を欠き事実に反する」と意味しています。

有用性に関する論文も多数出ている

東京大学医学部附属病院の森教授らは、トレハロース水溶液をヒトのドライマウスへ使うことで口腔粘膜の組織障害を軽減・防止できることを報告しています(Mori Y, Int J Oral Maxillofac Surg. 2010)。

また、岡山大学病院の松尾教授らは、トレハロースを点眼薬成分としてヒトのドライアイへ使うことで改善効果が認められることを報告しています(Matsuo T, Jpn J Ophthalmol. 2004)。

コロラド大学ボールダー校からは、ヒトが12週間にわたりトレハロースを経口摂取することによって、心血管疾患の発症リスクが低下することを報告しています(Kaplon RE, Aging (Albany NY). 2016)。

まとめ

トレハロースは天然由来の糖でありながら、食品分野や医薬分野など様々な分野での有用性に関するたくさんの研究がなされている糖でもあります。

安全性や危険性について理解したうえで、適切な形で向き合っていくのが理想的だと言えるでしょう。

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