トレハロースとは?その歴史と注目されている理由についてまとめた!

トレハロースの歴史を時計で表す

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売されている食品、調味料など、さまざまな場所で見かけるようになった「トレハロース」。今でこそ見られなくなったものの個性的なテレビコマーシャルの話題性も相まって、一度はその名前を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

一方で、「トレハロースは一体何なのか?」としっかりと理解されている方は予想に反して少ないのが実情。そこで今回は、トレハロースとその歴史、話題を集める理由についてご説明していきます。

トレハロースとは

私たちの生活には非常に身近な存在であるにもかかわらず、カタカナ表記の名前であるためか化学合成により作られた「人工甘味料」として誤解されやすいトレハロース。まずはトレハロースとは一体何なのかについてお話しします。

自然界に存在する天然の糖

トレハロースはキノコ類や酵母など、自然界に存在する糖です。トレハロースはブドウ糖がふたつつながったもので、砂糖や麦芽糖と同じ二糖に分類されます。

トレハロースは日本では「食品添加物」として分類されていますが、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、中国などでは「食品」として扱われています。「食品添加物」というとネガティブに捉えられがちですが、トレハロースそのものははるか昔から自然界に存在しているなじみ深いものなのです。

トレハロースはカタカナ表記の名前のため、日本では化学品のようなイメージを持たれがちですが、中国語名は「海藻糖」、ヨーロッパでは「マッシュルームシュガー」と呼ばれて親しまれています。

また、人間の血糖はブドウ糖ですが、世界に100万種以上いると言われている昆虫のほとんどの血糖はトレハロースです。

トレハロースは食品添加物だから危険なの?

トレハロースは日本では既存添加物名簿に収載されています。この分類は平成7年の食品衛生法改正により、かつて「天然添加物」とされていたものが「既存添加物」となりました。

健康素材として知られるタウリン、グルコサミン、ヒアルロン酸なども「既存添加物」として分類されています。

そもそも、食品添加物は安全と認められたものしか使用を認められていません。トレハロースも同様に各種試験により安全性が確認されているため、「既存添加物」として指定されているのです。

トレハロースの歴史

はるか昔から自然界に存在していたトレハロースの研究には、意外にも長い歴史があります。

トレハロースの歴史は、意外にも長い

トレハロースの存在が本格的に研究され始めたのは、1832年のこと。学者ヴィガーズは麦角中に発見し、1956年にバーサローが「トレハロース」と名付けました。

当時においてもトレハロースが持つ有用性はさまざまな分野での活躍が期待されていたものの、酵母から抽出していたため大量生産は不可能でした。また、1キロ当たり数万円もしていたため、コストの高さは否めず、いかにトレハロースを安価に生産するかが課題となっていました。

トレハロースの大量生産に成功した「林原」

そんななか、1995年、日本企業「林原」がトレハロースの大量生産に成功します。酵素技術よってでんぷんから生産できるということで、コストも100分の1に。これによってトレハロースはその活躍の場を広げていったのです。

トレハロースが有名になるまでの経緯

ほぼ不可能と考えられていた大量生産を実現した林原の貢献により、トレハロースは急激なスピードで市場に出回るようになりました。その効力と万能さがさまざまな業界で評価され、トレハロースは知名度を一気に高めていきます。

もともとは医療分野で注目されていたトレハロース

トレハロースは、細胞や組織を保護する作用があることから、医療分野での利用が研究されていました。研究が始められた当初は、工業的に大量生産されず、まだ高価だったことから、「知る人ぞ知る糖」として注目されていました。
今では、ドライアイ改善目的の点眼薬にも配合されています。

化粧品分野でも注目されたトレハロース

トレハロースが持つ保水性の高さは、化粧品業界でも高く評価されています。
復活草として知られるイワヒバという植物は、一見枯れてしまったように見えても水を与えてしばらくすると、青々と茂ります。この乾燥からの復活にトレハロースがかかわっていることに着目し、化粧品にもトレハロースが配合されるようになりました。

食品の品質維持に欠かせない存在に

さまざまな用途で活躍する天然由来の糖・トレハロースは、やはり食品業界における貢献度が目立つと言えるでしょう。実際に私たちが日ごろから食べている食品やスイーツ、お弁当などは、トレハロースの効力でおいしさを保つことができるのです。

トレハロースは保水力になど優れた糖で、でん粉の老化抑制、たん白質の安定化などのさまざまな物性機能を有しており、加工食品の食感向上や味質改善などの目的で多くの食品に利用されています。
トレハロースの甘みはお砂糖の半分以下であるため、スイーツであれば低甘味ですっきりとした味わいにしながら、また、お惣菜など甘さを必要としない食品であれば本来の味に甘みをつけることなく、美味しさを維持することができます。

砂糖と同じ甘さを出すには砂糖の2倍の量が必要になるので、甘みをつける目的で利用するのはあまり実用的ではありません。

活躍分野を広げるトレハロース

そのほかにも、トレハロースは保水性やタンパク質の変性抑制に優れるなど、様々な機能を持つ糖質であるため、その利用用途は食品、化粧品、医薬品のみならず、飼料、肥料、工業用途にも広がっています。

トレハロースに注目の理由

今や食品以外にもさまざまな用途で重宝されているトレハロース。これだけ注目される背景には、以下のような理由があります。

「生き返り」を促すトレハロース

トレハロースが注目度を集めている第一の理由は、やはり保水性の高さ。「生き返りを促す」とさえ言われています。

例えば、先ほども触れた復活草とも呼ばれる植物のイワヒバや、クマムシと呼ばれる生き物は、どんなに乾燥した環境でも水を与えると生き返ります。神秘の現象と言われたその復活現象も、近年になって細胞内の糖が関係していることが明らかになりました。

その糖がトレハロースであり、水の代わりに細胞を守る働きを担っていたのです。

食品の保存や品質維持に役立つ

トレハロース独自の働きはその後、食品業界で大いに注目され、冷凍食品やコンビニ弁当の保存、レトルト食品の品質向上など、多くの分野で有効利用されています。

安全性が高い

トレハロースは砂糖や麦芽糖と同じ天然の二糖類であり、安全性が高いことは明白です。
日本国内では厚生労働省が人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、食品添加物の使用を認めています。つまり、きちんと安全性が確認されていなければ、食品添加物として認められることはないのです。
国際的にもFAO/WHO合同食品添加物専門会議(JECFA)に安全性が認められています。

まとめ

こうして見ていくと、トレハロースは昔から自然界に存在していた糖であることがわかります。数々の研究や日本企業の貢献により、今では私たちの生活に欠かせないものとなったトレハロース、今後の可能性も大いに期待できそうですね。