トレハロースの大量生産に成功した株式会社林原とは?

本の上に置かれたメガネ

スーパーマーケットやコンビニエンスストアで売られる多くの食品に使用され、今では私たちの生活に欠かせない存在となった天然由来の糖「トレハロース」。最近では食品だけでなく、化粧品や医薬品などの成分としても活用されています。

それほど身近なトレハロースはかつては大量生産が非常に難しいものでしたが、日本企業である「林原」の功績によって可能になりました。

そこで今回は、世界でも高水準の研究技術を持ち地方のバイオ企業として注目される、林原の事業や歴史などについてお話しします。

トレハロースとは?その歴史と注目されている理由についてまとめた!

株式会社林原とは

林原は1883年に岡山県で創業した、日本の企業です。

最初は水飴の製造を中心に事業を展開していましたが、研究技術の向上と独自の製品開発に努め、2012年に長瀬産業を中核とするNAGASEグループに入るまでは、地方のユニークな企業として独自の事業展開をしていました。

「マルトース」「トレハロース」「インターフェロン」など、林原がかかわった研究対象はどれも世界規模で必要とされているものであり、それらの量産化に成功した林原は非常にレベルの高い企業だと評されています。

トレハロースの大量生産で注目を浴びた林原

林原がこれほどまでに注目される理由は、トレハロースの量産です。

自然界に存在する糖として1832年に発見され、食品をはじめとするさまざまなジャンルで役立つことが期待されていたトレハロースは、当時大量生産がほぼ不可能な状態にありました。酵母から成分を直接抽出する手法もありましたがコストが高すぎ、大量生産も難しいと考えられていました。

そこで1994年、林原がでんぷんからの量産に成功。従来では1キロ数万円したトレハロースが数百円になり、食品の品質維持・向上には必要不可欠な成分として一般社会に登場するようになったのです。

トレハロースの量産なくして林原を語ることはできないほどですが、同社はそのほかにも優れた研究実績を次々と発表しています。

今までの会社の歴史

19世紀に始まった林原には、非常に長い歴史があります。そこで今回は「創業期」「隆盛期」「再生期」「現在」と4つのターンに分け、同社の歴史をさかのぼってみました。

創業期

1883年、林原克太郎によって「林原商店」として創業。現在の岡山県岡山市北区天瀬にて、水飴製造業を展開。

1932年、「株式会社林原商店」に開組。林原一郎氏が3代目社長に就任、研究対象や事業内容を多角化させる。酸糖化法を導入した水飴「太陽印水飴」の製造を開始し、国内外で販売。

1943年、会社名を「林原株式会社」に変更。

隆盛期

1961年、4代目社長として林原健氏が就任。高純度マルトースなどの量産を実現化し、研究開発力の増大に成功。

1978年、抗がん剤としての用途を持つインターフェロンの量産化にも成功し、バイオの林原と評されるようになる

1994年、それまで大量生産が難しかったトレハロースをでん粉から量産し、国内外で幅広く展開。

また、様々な文化事業を推進するメセナ企業としても台頭するようになり、同社はその知名度をさらに高める。

再生期

2011年、不正経理が問題となり同社グループ中核3社が会社更生法適用を東京地方裁判所に申請。

2012年、株式会社林原は、「林原生物化学研究所」「林原商事」を吸収合併、大手化学品商社の長瀬産業からの出融資や不動産の売却により、負債額1,400億円の9割以上を弁済。会社更生手続きを終了し、長瀬産業の子会社となった。

現在

NAGASEグループ入りしてからも、グループ企業との協業などを積極的に展開しながら、研究開発にも力を注ぎ、トレハロースなどの機能性糖質の応用開発を進めるとともに、新しい水溶性食物繊維イソマルトデキストリンを発売するなど、医、食、健、美の分野で事業を進め、私たちの生活に幅広く貢献しています。

主な事業内容

依然として優良企業であり続ける林原の事業内容は、主に以下の4つです。

1.食品原料の研究・開発

トレハロースやサンマルト、プルランなどの食品原料の研究・開発を続け、食品の品質維持・向上に努めています。

2.健康食品素材の研究開発

「トクホ」や「機能性表示食品」の素材として利用されるモノグルコシルヘスペリジンや、水溶性食物繊維磯マルトデキストリンなどの素材は、人々の健康維持に役立つています。

3.医薬品原料の研究・開発

マルトースやトレハロース、プルランなどの林原の製品は、医療の現場でを、錠剤やカプセルの素材としても活躍。さらに研究を重ね、新たな用途を広げています。

4.化粧品原料の研究・開発

トレハロース以外にも、化粧品原料として役立つ成分を次々と発見。国内外で、化粧水、パック、クリームなどに、各々の成分が活かされています。

文化支援活動を担う「メセナ企業」としての一面も

林原一郎氏が収集した東洋の古美術品を収蔵する「林原美術館」の運営を支援。美術館は岡山市のカルチャーゾーンに位置し、企画展や特別展を定期的に開催しています。

もともと優れた研究技術を誇る林原。会社更生手続き経て再生し、その技術力を生かして現在も着実に活躍の場を広げています。

主な研究対象一覧

林原が研究・開発を続ける主な対象は、以下の通りです。

トレハロース

言わずと知れた天然由来の糖。食品の品質維持はもちろん、化粧品や医薬品、飼料や肥料にも使われるようになりました。

イソマルトデキストリン

トウモロコシなどのでんぷんに、微生物由来の酵素を作用させた、水溶性食物繊維の一種です。私たちが気軽に食物繊維を摂取するために役立っています。

モノグルコシルヘスペリジン

「ビタミンP」とも呼ばれる柑橘類に多く含まれるポリフェノールの一種であるヘスペリジンに糖を結合させ、水溶性を高めた機能性食品素材のことです。中性脂肪軽減や肌のくすみの緩和など、健康・美容面での活躍が期待されます。

アスコルビン酸2-グルコシド

体内に取り込むことによってビタミンCとグルコースに分解され、ビタミンCとしての効力を発揮する成分です。美白や紫外線ダメージの軽減など、美容面での作用が評価され、国内外で利用されています。。

これら以外にも、林原が研究対象とするものは数多くあります。国内外で強く求められる成分の開発と活用法の発見を続ける同社には、今後も期待が高まりそうですね。

まとめ

創立から135年以上という長い歴史を持ち、数々の優れた研究実績と製品を世に出してきた林原。隆盛期から激動の時代に直面したものの、現在でも日本が世界に誇る優良企業として活躍し、今後の成功も大いに期待できます。

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